本当の魔法と魔法瓶

like=dislike

君は日本酒が好きだという。

僕は3月が嫌いだという。

君には好きな人がいる。

僕も好きな人がいる。

君は春が好きだという。

僕はビールが大好きだという。

君に送ったメール、

すぐに取り消した。

境界線はそのままでいい。

もう会えないかもしれない。

それが好き嫌いの価値だった。

+C

春はモヤモヤしていて嫌いだ。

ヒビ我

月曜日は緑色

水曜日は何にもなくなる虚無の中

土曜日は下町を歩く

宇宙より巨大な甕に

全ての曜日と欲望を閉じ込めて

胡坐で見上げる

惜しいような脆い空しさに

ふと

苦くなって、唾を吐く。

大切なことは、

みんな忘れてください。

勝手な人。

血

僕は財布？　それともマリオネット？

分かり合って交わす笑顔。

それは笑顔？　それとも憤怒？

優しい言葉が連続。連なって酔っ払った！

どうして自分の血の事を考える？

誇り高き祖母の顔を思い出す。

淫蕩に染め上げた真っ当な毎日。

遺影は微笑む。

俺も微笑む。

君も微笑む。

笑っていないのは亡霊だけ。

光はない。

もうない。

真っ黒な瞳。

見つめた。

長い間。

それでも辛うじて笑えたよ。

まだ、笑えたよ、

おばあちゃん。

+C

酔って確かに。

88

死んでatomに

口角を上げて笑いながら

死んでアトムに

不意に転んで肘に血がにじむ

H2O? Fe？ prōteîos？

死んで焼かれて

CO2？

分解、それは解の一種だろうに。

極限の微粒子と無限の虚空、

二人は今も恋人で、

俺はただの間男で、

死んで原子になっても、

やっぱり中途半端で、

それからええと、

O2O2O2O2O2O2O2O2O2O2O2O2…………

ハウンド

旋回する幸不幸

いま支配してるけど、

明日は隷属してる？

どうでもいいよね、

パトラッシュ、

ハチ公、

ベートーベン。

粉々になる覚悟で、

こんな平凡な仕事を

やっているんですよ。

「他にご不明な点はございませんか？」

この瞬間を追う猟犬、

もう自分が犬だなんて思わない、

敵はどこだ？

獲物はどこだ？

喉元に、食らいついてやる。

噛み砕くのはフリスクだけど。

+C:

寒いのでご自愛を。